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[小児歯科] 転んで(ぶつけて)乳歯が抜けてしまったんだけどどうしたらいい?

目次

はじめに

この記事では、子どもが外傷で歯が抜けてしまった場合の対処方法について説明します。記事の中では、歯を戻すための手順や、保存液の役割、歯科医師との相談の重要性について説明されています。 また、乳歯と永久歯の違いについても解説されており、乳歯が抜けた場合の予後についても触れられています。記事を読むことで、子どもの歯のケガに遭遇した場合にどのように対処すればよいかを知ることができます。

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乳歯が外傷で抜けてしまった時の対応方法

昔のおばあちゃんの知恵袋に「歯をぶつけたら歯医者に行くな」と言う言葉がありますが、歯科医師の立場から言うとすぐに歯医者に行くことが望ましいです。外傷の処置はマニュアル的にはたいした処置として考えていない歯科医師が多いですが、外傷に関して勉強している先生からすると、下手に知識がなくて処置をしてもらいたくない内容になります。対応が永久歯と全く別物になります。私自身も他院で保険点数目的の処置をされてからの大半は、処置をやり直しするケースが多いか、手が出しにくい状態になります。

そのくらい知識のある先生からすると、判断がケースバイケースで異なります。処置方針に関しては、アジア外傷歯学会のガイドラインと日本外傷歯学会のガイドラインに微妙な認識の違いが現れています。

どちらでも対応できるという意味では、歯を戻すことを前提としていきます。乳歯の場合は、戻しても良い成績が収められる時間は30分以内とされています。永久歯のケースと全く時間が異なります。基本的な考え方は永久歯と同じで、歯をぶつけて抜けてしまった場合、歯の周りには歯根膜と言って、この膜の生存の有無が歯科治療状の成功率に大きく影響します。

理想は永久歯同様に保存液ですが、幼稚園や保育園では用意がないケースが多いです。そのため、牛乳の中に保存するのがベストです。牛乳も、低脂肪とかの特殊な加工をしている製品でなく、昔ながらの牛乳です。今で言う売れにくい分類に入る牛乳なので、コンビニやスーパーであっても1種類だと思います。決して水に入れたり、水で濡らしたティシュに包んで歯医者に持っていくのは決してやってはいけません。ただし、歯が抜けた場所が外で砂とかが非常に多く付着してしまった場合は、理想としては、生理食塩水や牛乳、保存液で洗浄しなくてはいけません。外部の菌による感染によりトラブルを防ぐ必要が出てきます。そういう意味では、本来は水の使用はダメですが、汚れの除去を一時的に行うのであれば、必要に応じて水もいいですが、なるべく早く牛乳や保存液に入れてください。

もし、保存液と牛乳もない状態の緊急時は、唾液を口の中にためて、唾液に歯が完全に浸るようにして口の中に保存します。ただし、注意点として、歯をガリガリ噛んだりするのはしてはいけません。歯の膜が損傷してしまいます。お子さんの口の中で持ってくる場合は、要注意です。

乳歯に関しては、元に戻さないケースもあります。それは処置後の予後と永久歯へのダメージに関わる問題が生じると考えた場合です。

処置と予後

抜けてから30分以内で抜けた環境が良い場合は、戻すケースがあります。針金でとめますが、永久歯と違い3週間を目安とします。この戻すもださないは先生の考え方で左右しますので、相談してください。アジア外傷歯学会のガイドラインでは、基本的に戻しません。その理由は、歯が抜けるということは、顎の骨が広がっているので、戻した時には見た目上ほぼピッタリの位置に戻りますが、厳密には位置がずれます。もし、乳歯を戻した位置が永久歯とぶつかっている状態で乳歯を針金で繋げてしまうと、乳歯の根が永久歯の頭にぶつかっている状態が長時間続くことになり、永久歯に対してダメージを与えます。乳歯で嫌な思いをするのと、永久歯で嫌な思いをするのでは、期間が全く異なります。乳歯を戻さないことは見た目上気になりますが、永久歯の見た目は今後その子の精神的な劣等感に本人が悩まされます。

一方、日本外傷歯学会は状態によっては戻す事も検討となっていて曖昧な表記になっています。ここで表記に若干のずれが生じています。戻しても上記の永久歯のトラブルを考慮した場合、針金の固定は3週間に留めるのはそういう理由からです。もし歯が抜けた場合は戻しても歯茎の短くなったり顎の骨が溶けたりして結果的に抜けてしまいます。予後に関しても乳歯の場合は非常に悪いので今後の経過に関しても先生とよく相談してください。

まとめ

この記事では、子どもが外傷で歯が抜けてしまった場合の対処方法について説明されています。乳歯が抜けた場合の処置や予後について詳しく解説されており、歯を戻す際には保存液や牛乳がベストだが、緊急時には唾液で保存することもできることが分かります。また、乳歯の場合は永久歯と異なり、歯を戻すことによって永久歯にダメージを与える可能性があるため、先生と相談して適切な処置を行う必要があります。

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この記事を書いた人

歯科大学卒業後、小児歯科を専攻として大学院を卒業し博士(歯学)号を取得。大学の小児歯科教室で教員を務めた後、地元で小児歯科を専門として開業しつつ、大学の非常勤講師(小児歯科)に任命中。小児歯科学会の認定医、専門医試験に合格して現在は専門医の資格を所有。小児歯科を専門とした歯科医師です。

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