テーマ:「新型コロナウイルス禍の中で私たちにできること」口腔機能発達支援:舌のトレーニング
抄録
口腔機能発達不全症とて診断した際には、私たち歯科医師は状況改善のために、こどもたちにさまざまな指導を行います。今回はその中の「舌」に焦点を当ててみました。
舌の位置や使い方によって、どのような問題が生じるのか、どのように指導を行うとどのような変化が見られるかをお話ししたいと思います。そして舌は「食べる機能」だけでなく、「話す機能」にも関係しています。歯科医師はなかなか「発音」「発声」を学ぶ機会が少ないと思いますが、「話す機能」には、舌、口唇の形などいつも私たちが接している口腔内外が深く関わり、私たちがその指導の手助けができるとこは間違いないでしょう。こどもたちが素敵な未来を歩むためにお手伝いにないができるかを考えていきたいと思います。当日は、JSPPで企画・制作した口腔と全身の運動を目的とした歌とダンス「はっけよいマニマル体操」も紹介します。
講演内容
小学校の先生が給食の時に困っていること
よく噛んでいない
丸のみ
食べるのが早い
すすって食べるなど特徴がある
偏食
1:口腔機能発達不全症とは?
「食べる機能」「話す機能」「その他の機能」が十分発達していないか正常に機能取得ができていない。
その他の機能には呼吸が含まれてきている。
H30年から病名ができたが3歳以降がメインであった。令和2年から生まれてからの患者が対象となった。
C-9離乳食が進まない。がリストから外れているが、今後追加される予定。
令和2年に小児口腔機能管理料となり(加算から)100点(新設)
12ヶ月まで算定が可能?(最大?)(基本は6ヶ月)。
条件
①文章の渡すことに関しては、歯管に管理の項目が含まれていれば代用可能。
②口腔外または口腔内の写真撮影が必要
症状が解る写真が必要。
例:舌が前に出ている写真など
例:正中がずれている写真
例:顔がゆがんでいる
例:おとがいの皮膚の荒れ。舌牢癖。唾液が皮膚について乾燥するため皮膚荒れが現れる
例:爪を噛む癖・保護者は爪を切る必要が無いので楽だと答える人もいる。
例:指しゃぶり
母親の腕を吸う癖のこもいる。母親の二の上の内側を吸う癖が特徴。
状態によってはわざとやってもらい写真を撮ることもある。
できるだけ普段お状態をとれると理想。
口が開いているとは上下の唇が接触していない状態を口が開いているとする。
評価基準の中には外来で確認できない項目があるので、家で動画を撮ってきてもらう。おっぱいを吸っているところ。哺乳瓶を飲んでいるところ。離乳食を食べているところ。など。
可能なら院内で確認できるのが理想。接触指導用の部屋が必要。授乳指導用の指導など。
男性がやると問題になることあるので、衛生士に依頼するのが理想。
小児口腔機能検査は3ヶ月に一度算定できる。100点
装置としては
ALC
リップデガム
etc….
指針でデータとして出ているのはリップル君のみ
リップル君は始める前に頑張って!は言ってはいけない
何処までを小児機能管理料で算定して、何処までを本格的なMFT(自費)を行うのか?
例:舌の突出が有る場合。
小児口腔機能管理で舌を出さないように指導。
舌の突出は直せても、発音までは治らない。
コロナ禍ではマスクをしていて何処で呼吸している?(めざましテレビでのアンケート?)
口:60% 鼻:33% どちらかと言えば口:7%
前歯部に慢性的な刺激により根尖がへっこんだような像が現れる。
問診では授乳はないと答えるが、おっぱいを吸っている癖があると現れ得る。
おっぱいを吸うのは母乳が出ていない蹴れば授乳ではないから、授乳の欄は無しとなる。(4歳)
歯が出るのも遅いのもしっかり噛めないので口腔機能不全となる。
そうやって航空機の発達不全症を見つけるか?
待合室にポスターを貼るなどして認識してもらう。
2:診断方法とトレーニング
あきらかな摂食障害とは?
脳性麻痺とかは口腔機能不全症には含まれない。
チェックリストに3項目にチェックが入った場合に診断となる。
診断基準は日本歯科医学会からダウンロード出来る。
歯牙について
先天性歯・萌出遅延。
歯冠が低い場合なども先天性歯の可能性が有る。
平均的な歯の萌出に関して小児歯科学会が2017・2018に調査済み
顎や咬合
口蓋裂
口唇・歯槽の形態に異常がある。
あっぷっぷができるか?ほっぺを指で押してみて、唇をコントロールができるか?
食べる機能に異常
下顎の歯槽骨の吸収は舌癖で起こるので、舌の吐出を指導する
おっぱいの吸い方。哺乳瓶の使い方。
助産師の教科書に載っている(ラッチ・オン)
上唇が上から見て見えるかどうか?
母親が上唇を見えるように飲みながらめくれ上がらせる。ラッパ状に
左右均等(おっぱい)に吸わせる。片方5~10分
人工乳の場合はわざと穴を開けたり、大きさを変えて独自の上げ方をしてトラブルを起こすことが多いい。
異常項目として
授乳時間30分以上飲んでいる
授乳後1~2時間で母乳をほしがるなど
自分で座位がとれるようになってから離乳食を始める
スプーンを舌で押し出す癖がある。(食べるときに舌が出てくる)
歯科展望 2020/2に離乳食事のスプーンの使い方が載っている
上唇の原始反射を利用して指導
上唇に触れて刺激を与える。上唇を刺激する。始めは嫌がるがなれてくる。過敏を取る訓練をする。
ゴリラとタコチュウ。
上の唇に空気を入れる。鼻の下と唇でストローを入れる
できない子が意外と多い
その他に
口の周辺を触ると顔を背けるなどが見られるときは緊張を取る訓練をする
離乳食が始まる時は下顎前歯が生えてくるようになると、舌は前後でなく上下に移動するようになる。
臼歯部が生え始めると左右に顎を動かすようになる。
離乳食の指導は助産師や保健師さんが指導になる。
時乳・離乳の支援ガイド2019 厚労省のHPからダウンロード出来る
食事のシート(食生活)をとるといい
食べる機能
交叉咬合や、頬側に傷が有る場合は強く噛めない
うつ伏せにより交叉咬合の原因がある
うつ伏せの癖を治すのは壁側に寝して反対側に母親が寝て挟むようにする。
適正な噛む回数は25~30回
長すぎるは所要時間が1分以上かかる
早すぎるは咀嚼回数が5回以下
片咀嚼は咬合紙で確認。
シーザーバイトはうつぶせ寝の可能性が有る
舌について
舌小帯に異常がある。(舌尖に小帯が付いている)
舌小帯の異常によるよものは、舌小帯の切除と書かれているがNIUの先生は訓練で小帯は伸びるし、小帯異常による摂食障害か判断するのは難しい。上に上げる感覚を学ばせて訓練させる。
舌を上に上げる訓練をさせてから小帯のOPEをするのが理想。
下顎の歯牙の正中の離開は舌小帯の可能性も有るので、切除を検討する(舌の突出の可能性も有り)
舌の突出癖
乳児型嚥下が残っているときは、口を閉じないとツバが飲めない。
構音障害
口唇の閉鎖不全がある
離乳完了後、上下の唇に隙間がないか
数を数えさせる(舌の低位や突出)(舌に位置が問題)
口呼吸がある
唇の乾燥や口が開いているを確認
鼻息鏡などを使う
トレーニングとして
4歳からガムのトレーニングをする
乳児型嚥下と成熟型嚥下
舌を上顎につける訓練をする。デンタルガムをを使う。ガムを噛めない子が多い。基本は二つを口にいれて噛ませるが、始めは1個でもOK。つぎに二つに割る。筋肉痛になる子もいる。(またく筋肉を使っていな証拠)
ガムの訓練
- 噛み方(30回噛むとは)
1)こめかみに手を当てて、左右10回噛む
2)ほほに手を当てて左右10回噛む
3)頭に手を当てて左右10回噛む - 舌の挙上の訓練
1)舌でガムを団子状に丸める。舌の上に置く
2)ツバのみ上顎にガムが付くか見る
発音(か行が”お”になってしまう)が上手くできない場合はガムトレーニングが有効
サ行は棒を舌の中央に置き舌を押さえて発音する瞬間に棒を離す
た行は、舌を上につけさせ棒で舌をしたから押して練習させる
風船のトレーニングも有効
交叉咬合の子は、交叉咬合側でガムを噛ませる訓練をさせる
全身の運動で
「はっけよいマニマル体操」
口腔機能を改善させる体操をJSPPが考案(CD末に3月に3枚同封するニュースレターにいれる)
動画もYoutabeに配信中。
動画は誰が使ってもOKで無料は配信。
他科との連携も重要
3:ディスカッション
座長から質問
Q:離乳完了前の子どもに関して、不全症の疑いがある子のスクリーニングは?
A:問診票には書いているが、気づかない保護者が多い。離乳食の声がけをするようにしたり、飲みのなどについて聞く。保護者ととの会話から話が出てくるので会話は重要
Q:離乳後、3歳までの子どもの対応は指導やトレーニングは難しいと思うけど、具体的にはどのように対応するか?
A:2歳半から3歳はあっぷっぷをさせて、保護者にほっぺを押してもらい、空気が出ないように遊びながらやる。
風車など息を吹く訓練をするとよい。
Q:トレーニングの。。。。。。。。。
A:夕食後にデンタルガムを家族で噛む訓練をする。
Q:フェードアウトしてしまうが。。。。。。
A:本人や保護者の意識が低いと継続は難しい。意識付けをする事は非常に重要。
感想
何処までを保険で算定して、何処までをMFTをするか線引きが非常に難しい。以前はMFTを口腔機能管理として行ってきたが、時間と採算が合わず期間内に終わらす事などはほとんど不可能であった。それと人件費以下の金額で長時間行わなくてはいけない問題に直面し、虫歯などの治療を必要とする人の対応ができなくなってきてしまい、本来歯科医師として行う処置ができないという本末転倒な事になってしまっていた。
それ以前に口腔機能に感心を持つ人は少ないのも事実である。
歯並びとフッ素の話はものすごく興味を持つが、口腔機能の問題により歯並びが悪くなっても、歯並びを治すことが目的で、悪い癖を含めた口腔機能を治す事により歯並びが改善される事には興味が全くない。そのため矯正も上手くいかなかったり、後戻りするリスクが非常に高くなってしまうことは全く興味がない。
まさに、濡れたパジャマで寝て、次の日に風邪をひいてしまって、病院を受診して風邪薬をもらい、風邪薬をもらったから、今日も濡れたパジャマで寝ると勘違いしている例えと全く同じように感じる。風邪薬をもらうことが目的ではなく、暖かいパジャマで寝ることが重要な事なのに、風邪薬をもらう事事態で満足してしまっているのが現状のように感じる。
うつぶせ寝や添い乳などの習慣で上顎変形を伴っていたり、噛み合せがズレている子を多く見かけるが、矯正すれば無かった事にできると考える人も見かける。
スプーンの使い方や食事、姿勢の指導を保健士や助産師(必要に応じ調理師、栄養士、言語聴覚士)に指導を受けるように伝えても、私の周辺の環境の施設では、まったく指導できる環境はなく、上顎や歯に問題なら歯科でしょ?や小児科に行って病名を付けてもらい。病名が付けが治療ができるから小児科に行って!と回答する指導員のケースが大半(ではなく全て)であった。
目的は生活習慣を治す事であって、生活習慣によって生じた弊害を対処療法で治すことが目的でないと感じているが、専門家ですらこのような考えなのは悲しく感じる。
この話には続きがあって、助産師は近くの小児歯科の先生を紹介してくれた。そしてそこではフッ素を塗らないと虫歯になってしまうい歯並びが悪くなるし、歯固めなどする食材を使うと虫歯になるから、そんな物は与えてはいけないと指導されたと泣きついてきた来たお母さんもいた。結局片道1時間以上かけて助産師の先生の所を受診して、姿勢や口腔内の刺激の方法を学んでいるが、そのお母さんの感想としては、指導をしてくれる助産師の先生と私の言うことは全く同じ事を言って、指導の仕方も全く同じであったと言っていた。(私自身は専門ではないので事故を起こされると困るから、必ず専門の先生の指導を受けてと伝えている)
今回の講義を聴いて、もう少し歯科医師として行える行動を少し増やし、保険と自費の内容を明確にして行く必要があると感じた。簡易的な指導か、本格的な訓練かがこの2者を分けるポイントだと思う。
遊びの中を通してできる内容を指導の中に含めて行きたいと実感し、今回紹介があった体操を含めて、多くの人に理解してもらうように情報発信をしていくのが小児歯科医のしめいだと思います。仮に周りは無関心であろうと。
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