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[レポート]子どもたちの目をまもる〜スマホでなく外遊びを〜

基調提案
「子どもたちの目をまもる〜スマホでなく外遊びを〜」

目次

抄録

要旨

生まれたての赤ちゃんは明るい暗いがわかる程度ですが、2歳で視力0.5前後に達し5歳で8割の子どもが視力1.0に達していきます。

小学校に上がる前までには乳幼児期が子どもの目の発達にとってとっても大事な時期です。この時期にスマホを見続けることによって、ピント合わせや眼球運動の発達が悪くなってしまう可能性は否定できないと思います。

また、近視に関しても、スマホは危険と言わざるをえません。両眼で立体に物を見る機能も乳幼児期に発達しますが、最近スマホを長時間見ていて、内斜視になる子どもの報告が急増しています。

ブルーライトによる睡眠への影響も心配されます。子どもの目の発達には外遊びがとても重要です。子どもにはスマホでなく、外遊びをしっかり用意してあげたいと思います。

内容

ここ10年で、スマホは驚く早さで全世界に普及してきました。また使用開始が低年齢化してきています。

スマホが、発達期にある子ども達の資格にとってどのような影響があるかはっきりとわかってい訳ではありません。しかし気をつけないといけない点がいくつかあると思います。

1)固視・眼球運動とピント合わせの発達への影響

視力の発達は生まれてから始まります。生まれたての赤ちゃんはぼんやり明るい暗いがわかる程度ですが、2歳ななるまでには大体0.5くらいになり、5歳には約8割の子どもが1.0まで発達していきます。

そして6歳頃までに視力は成人レベルに達していきます。

この時期には視力だけではなく、他の目の機能も急激に発達していきます。見たい物に視線を合わせて見続けること(固視)、近くの物や遠くの物など見たい物にピントを合わせる(調節)、見たい方向に目を動かす事(眼球運動)は、いろいろな物を目で探して追いかけたり、跳んだり、投げたりするような体を大きく動かす大きな運動(粗大運動)のなかで発達していきます。

この粗大運動から、眼と手の協応運動が発達し、細かい手先の作業が出来るようになります。そして固視、眼球運動、調節が十分発達すると、文章を読んだり、黒板の文字を書き写したりする事が出来るようになります。

スマホを見ている時間は、体を動かすことがばく、常に画面との距離にピントを合わせたままとなってしまいます。

眼球が動くのは小さな画面の範囲内だけとなってしまいます。

まだはっきりとスマホの影響が分かっている訳ではありませんが、乳幼児期に大切な体を使う活動を減らしてしまい、固視や眼球運動、調節、目と手の協応運動の発達を妨げる可能性は否定できないと思います。

2019年4月WHOは子ども達の健康な成長のために、座る時間を減らして体を動かし遊ぶ時間を増やすように勧告を出しました。

その中で、テレビなどの画面を見て座っている時間移管しては、2歳未満では0に(見せないように)、2歳からは4歳までは1時間未満にするように述べています。

子どもの健やかな成長にとっては、画面を見ることを減らし、体を動かすこと、よい睡眠を取ることが大切なのです。

2)近視への影響

近視は遺伝的な影響が大きいことがわかっています。

ですが近年、遺伝だけでは説明が出来ないほど全世界的に近視人口が増加しており、環境面に注目した研究が進められています。

今までの報告で分かってきた一つに、見る対象との距離が30cm未満だと近視が進行することがあげらています。

スマホとの距離は、大人でも子どもでも大体20〜25cm前後でかなり近いです。そして、姿勢が決まる年齢はとても早くて、鉛筆を持って書きなぐりを始めたり、絵本を読んだりする2歳頃と言われています。

幼児期にスマホを見るようになると、近視への影響も、姿勢への影響もどちらも心配されます。

また、30分以上連続して近業を続けることも近視の進行を早めることがわかっており、スマホの使用時間が長いことも、近視に関しては心配な要素であるといえます。

反対に近視進行を抑制する物として、野外活動が有効であるという研究結果が数多く報告されてきています。

1日2時間、週14時間の野外活動が近視進行をかなり予防できることもわかってきたため、野外で過ごすことが近視進行の予防の面から大切とかんがえられます。

3)斜視と両眼視機能への影響

スマホは目からの距離が読書よりも近いために、両目をぎゅっと寄せて見ることがひつようとなります。

この目を寄せる事が続いたために内斜視になってしまう例の報告がこのところ急増しています。

これに関しては2019年10月から、日本弱視斜視学会多施設研究に日本小児眼科学会と成育開発研究が協力して前向きの研究が始まりました。

また寄せる事がつらくて片眼で見るようになるため間欠性外斜視が悪化してしまった例の報告も見られるようになっています。

この片眼で見ることが長時間続くことによって、立体視などの両眼視機能が悪い子どもが増えているという報告もでています。

スマホの長時間使用は、視力だけでなく、両眼で物を見る機能の眼の位置にも大きな影響を及ぼす可能性があるのです。

4)ブルーライトと睡眠へ影響

網膜神経節細胞にある光感受性神経節細胞は固有の視物質であるメラノプシンをもっており、この色素はブルーライトによって概日リズムに関与しています。

日中、日光からたくさんのブルーライトを浴び、日没とともにブルーライトが消えると、メラニンという睡眠をつかさどるホルモンの分泌が盛んになって、眠くなっていきます。

スマホから出るブルーライトは眼からの距離が近いために、光量が少なくても影響が大きい可能性が指摘されています。

夜遅くまでスマホを使っていると、、ブルーライトの影響で眠気が来なくなってしまい、生活のリズムが崩れてしまう可能性も指摘されています。小児では、寝る前の2時間は電子機器に触れさせないように気をつけたいと思います。

講演を聴いていての追加内容

先生のお話では、つい最近は発達の障害を持った人が増えてきているとのお話でした。

  • 眼科検診の訴え
  • 音読ができない
  • 行飛ばしして読む
  • 同じ業を二度読む
  • 黒板の文字を写せない

眼科医学会でもスマホ軽傷のポスターが作成されていて、近視になると

  • 網膜剥離
  • 緑内障   →失明の第一位
  • 近視性・・・

などがあげられているそうです。

ネイチャー(医学雑誌)で近視に関して報告があり、アジアで近視が急増しており、今までは遺伝要因が強いと言われていたが環境因子がつい最近は強くなっています。
台湾で屋外活動を2時間以上にしたら近視の割合が減少に転じた報告がでているそうです。
日本の場合は、体育の時間+休み時間*通学=1〜1.5h が日常のようです。
老眼は加齢とともに水晶体fが硬くなってピント合わせがしにくい状態で、45才でほぼ全員なると言われています。
確かに私も。。。認めたくないが。。。。
ところが、
  • スマホ老眼=調節緊張
  • 睡眠不足はピントが合いにくくなる。
  • スマホが長いとすみん不足に落ち位入りやすい
4時間以上の使用の児童に12例に急性後天内斜視が認められた。3時間でも7例に認められた。事が確認されています。
成人でも20cmでスマホを見ると目のズレが生じることが報告されているそうです。
立体視ができなくなると、階段を下りるのが怖いとかいう子が出てくる。またスピードがわからない。フライが取れない、バットを振れないなどの症状が現れます。
この機能を育むために
子供の成長には外遊びは重要である
と言う内容の講演でした。
最後に周りからの質問で、眼のためには日常どのような事をしたら良いか?という内容に対して先生は、紙の本(スマホの文章ではなく)を読むことは眼の運動に関して訓練になるとおっしゃっていました。

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この記事を書いた人

歯科大学卒業後、小児歯科を専攻として大学院を卒業し博士(歯学)号を取得。大学の小児歯科教室で教員を務めた後、地元で小児歯科を専門として開業しつつ、大学の非常勤講師(小児歯科)に任命中。小児歯科学会の認定医、専門医試験に合格して現在は専門医の資格を所有。小児歯科を専門とした歯科医師です。

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